武田薬品は機械学習モデルで医薬品生産を強化

Various sizes, shapes, and colors of different pill medication

武田薬品工業株式会社(本社・東京)は、世界中の人々に「より健康で輝かしい未来」を産むことを使命とし、常に患者を中心に考えるグローバルな研究開発型バイオ医薬品の先進的企業です。創業から230年以上、揺るぎない経営の基本精神を軸に革新的な医薬品と治療法の創出に真摯に取り組んできました。

Philippe Noquéro は、ヨーロッパのSix Sigmaリーダーであり、黒帯マスター資格も保有しています。また、AGILE 4.0プログラムの一環として、ヨーロッパの武田ネットワーク全体でSix Sigma機能を担っています。

武田薬品とMinitabの関係は長く、分析を用いて生産の問題を解決し、改善の機会を割り出して実施し、最小限の監督で工程改善を達成するために適切な実験を計画してきました。

課題

スイスにあるTakeda Neuchâtel では、2つの型の血液凝固障害または血液凝固因子欠乏を治療する薬を3種類生産しています。

  1. 血液凝固障害1型:血友病A - 患者にはVIIIプロテインが不足しています。血友病Aは、血液凝固障害と血液凝固因子欠乏の最も一般的でよく知られている型です。武田薬品は、この障害のために次の2種類の凝固薬を生産しています。
    1. 第VIII因子:血液凝固鎖に必要なプロテインです。
    2. 長期持続第VIII因子:患者の体内で第VIII因子が長時間作用するものです。
  2. 血液凝固障害2型:フォン・ヴィレブランド病 – この血液傷害では、患者は、フォン・ヴィレブランド因子プロテインが少なかったり、患者の血液が適切に凝固しなかったり、うまく働かないことがあります。武田薬品では、この障害用に凝固薬1種類を生産しています。
    1. フォン・ヴィレブランド因子:血液凝固鎖に必要なプロテインです。

これらの3種類の薬は「遺伝子組換え治療」とも呼ばれ、ヒト由来や動物由来を添加せずに生産されることを意味します。この薬は、細胞培養を使用したバイオテクノロジ一生成物に由来します。そのため極めて高度な安全性、純度、有効性があります。

武田薬品は、これらの薬の生産効率を向上させるために、また工程で使用する細胞培養の収量を増やす方法を見つけるために、取り組んでいました。研究者は、これを達成するために、細胞培養にどの工程パラメータが影響を与えるかを理解する必要がありました。

ソリューション

Philippeのチームは複数のバッチを追跡し、必要な血液凝固プロテインの細胞培養に影響を与える可能性のある約30の工程パラメータのデータを収集しました。探索的解析で、解析用のデータを準備する特徴量エンジニアリング技法を含む、たくさんの統計ツールを使用しました。偏最小二乗で、収量に影響を与える重要な要因を特定できることを発見しました。偏最小二乗回帰では、多くの予測変数および1つ以上の連続応答の間の関係が示されます。これは、予測変数がほぼ同一線上にある場合や予測変数観測値よりも多くある場合に特に役立ちます。

チームはこの方法を用いて、モデル内の各予測変数の重要度を示す標準化係数の視覚化で、主要な工程パラメータを割り出しました。

Standardized coefficients visualization

Phillipeは偏最小二乗回帰はやや高度な技法なため、誰もが自分で理解して用いるのは難しい可能性があるため、これらの結果を他のチームメンバーや他の領域の同僚と共有するつもりでした。武田薬品の科学者とエンジニアは、Minitab Statistical Softwareを使用してデータそのものを分析するようトレーニングされ、権限を与えられています。Phillipeは、CART決定木が偏最小二乗回帰分析をどのように補完できるかを評価することにしました。このアプローチにはCART木で、偏最小二乗分析の結果を確認できることと使いやすく理解しやすいという2つの長所があります。

CART木の有用な出力の1つは、相対的変数重要度プロットです。改善スコアが最も高い変数が最重要変数として設定され、他の変数もそれぞれランク付けされます。結果、偏最小二乗アプローチと一致しており、歩留まりプロセスについて興味深い議論が生まれました。CARTで、単一決定木、別の直感的な視覚化も可能です(図はなし)。

Relative Variable Importance plot

結果

研究者は複数の機械学習モデルを用いて歩留まりプロセスを詳しく調べ、重要なパラメータを割り出すことができました。CART決定木の結果は、偏最小二乗回帰の結果と一致しており、使いやすく解釈しやすいため、より多くの科学者やエンジニアが使用することができます。武田薬品のMinitabユーザーが結果を理解して解釈するスピードは増します。従来のモデル化技法と比較すると新しい技法ですが、直感的でエンジニアや科学者がすでに知っている統計ツールの補完になります。

Philippeとそのチームは次のステップとして、モデルの精度を上げるためにMinitab Statistical SoftwareでRandom Forestsや勾配ブースティング(TreeNet ®)モデル化技法などの高度な決定木を取り入れていく予定です。

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Takeda Logo

顧客

武田薬品工業株式会社

組織

  • 1781年、日本の大阪・道修町で創業
  • ニューヨーク証券取引所上場(TAK)
  • アジア最大の製薬会社
  • 収益で世界上位20位以内の製薬会社

課題

武田薬品は、血液凝固薬3種の生産効率を上げることを望み、工程で使用する細胞培養の収量を増やす方法を見つける必要がありました。

使用された製品

Minitab® Statistical Software

結果

研究者は、歩留まりプロセスを詳しく調べ、重要なパラメータを割り出すことができました。