本件の核心：病院の診察プロセスを改善して人命を救いコストを節約

STEMI患者は、心電図所見と心筋マーカーで診断され、推奨される治療は、病院に到着してから90分以内に完了する血管形成術です。

国泰総合医院のプロジェクトチームは、Minitab Statistical Softwareを使用して、心臓発作の患者への治療改善につながるデータを分析しました。上記は、台湾台北市にある国泰総合医院です。

血管形成術では、小さなバルーンの付いたカテーテルを閉塞した血管内に挿入する必要があるため、医療専門家はこの時間を、DTBT（病院到着から再灌流までの時間）と呼びます。バルーンを狭窄部で膨らませて、再灌流を可能にします。

患者の生存可能性を最大化するために、チームはプロセスの各ステップを評価する必要がありました。推奨治療時間を超えるDTBTの原因となった変数を特定し、さらに、最小限に抑えるためにどのような調整を行えるかを特定する必要がありました。

チームは、Minitab Statistical Softwareを使用して、心電図、手術前の待機時間、バルーン拡張の時間を含むDTBTを分析しました。

分析しているデータが信頼できる場合に限り、分析の結果を信頼できます。チームは、信頼できるデータであることを確認するために、Minitabを使用して測定システムのゲージR&R分析を行いました。反復性および再現性を含む、システムの精度を評価して、測定の一貫性と信頼性を確保するものです。

Minitabのアシスタントメニューを使用すれば、統計専門家でなくとも、適切なツールを簡単に選択して使用できます。上のダイアログボックスでは、ゲージR&R分析用のデータ収集ワークシートを作成できます。

チームは、測定の精度を検証した後、9か月間に発生したSTEMI症例40件のDTBTを分析しました。

まず、データを検定して、データが正規分布を描いているかを確認しました。これは、多くの種類の分析で重要な仮説です。データは正規分布ではありませんでしたが、Minitabで簡単にBox-Cox変換を適用して正規化しました。次に、変換されたデータを使用してI-MR管理図を作成し、プロセスが長期にわたって安定しているかを評価しました。この管理図は、個別観測値（I）と移動範囲（MR）の両方をプロットして、観測値の平均と変動が時間の経過とともにどのように変化するかを示します。

上記のI-MR管理図は、Box-Cox変換から正規化されたデータを示し、データの異常な変動の原因を特定します。

チームはまた、Minitabを使用してプロセス能力分析を実施し、プロセスがパフォーマンス仕様を満たしているかを割り出し、プロセスをどのように改善できるかの洞察を得ました。DTBTの上側仕様限界は90分でした。能力分析の結果により、この病院でのSTEMI症例の対応には、プロセス改善の大きな余地があることが確認できました。

チームは、STEMI患者の対応の各ステップを調べて、診断の確定、患者への投薬、手術の準備、カテーテル室への患者の移送、バルーンの拡張など、効率を大幅に上げられる領域を複数特定しました。

チームは、STEMIプロセスを評価した後、改善を実施しました。具体的には、胸の痛みで到着した患者をそのまま心電図検査に送る、カルテを手書きではなく自動で印刷する、救急室でSTEMI薬剤パックを使えるようにする、診断確定時にカテーテル挿入スタッフに連絡する、すべてのSTEMI手術用機器を事前に1つの箱に梱包する、処置に不慣れなスタッフを教育するフォーラムとしての手術時間の使用を止める、です。

その後、チームは追加のデータを収集し、プロセスを再評価しました。Minitabを使用して新しいデータを分析したところ、平均DTBTは139.2分から57.9分まで短縮されていました。これは、58.4%の改善です。さらに、能力分析で、この新しいプロセスが仕様を満たすことが示されました。

より効率的なプロセスで、より早く患者は血管形成術を受けることができるので、救命につながります。さらに、STEMI患者の平均在院期間は、新しいプロセスを実装してから3日短くなり、医療資源が440万ドル節約されました。このプロジェクトは、台湾の財団法人医院評鑑・医療品質策進会から承認され、国家生技医療産業策進会から国家品質標章を授与されました。

データ分析とLean Six Sigmaを医療システムに適用しても、実験的手術のようにマスコミで報道されることはありません。ですが、より多くの病院がデータ分析を使用して、より良く、より早く、より安全に処置を行なうことで、その利点は命を救われた患者の表情に毎日表われるでしょう。